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新型コロナウイルスのワクチンと治療薬 開発状況まとめ

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新型コロナが大きな社会問題に化けた理由

私たちは、すでに新型コロナウイルスが、感染症という次元を超えた巨大な社会問題になっていることを実感しているものと思います。

新型コロナの社会的影響が、ここまで大きくなった背景には、いくつか具体的な原因があります。一つは、無症状感染者が感染拡大に加担しているといったホラー映画的な不気味さです。これは、他の感染症に類を見ない特徴です。

また、急に症状が悪化して、ちょっと前まで元気だった人があっという間に亡くなってしまうことがあることも恐怖感を増幅させています。

そして、これらの不気味さ、恐怖感に加えて、私たちにトドメを刺したのが、これほど怖い伝染病なのに、「ワクチン(予防薬)がない」「治療薬が少ない」ということです。

この「薬がない」という問題が、私たちを何よりも不安にさせていると思います。現在、ワクチンと治療薬の開発状況は、どうなっているのでしょうか。

ワクチンの開発状況

まず、新型コロナウイルスに対するワクチンの開発状況と、その背景からお話します。

実は、この「ワクチンがない」という問題は、経済活動の自粛規制の原因になっています。

ワクチンがあれば、大手を振って経済活動ができますが、ワクチンがないから、ビクビクしながら経済活動を絞り込まなくてはならなくなっているのです。

つまり、ワクチンがないことが、経済的な落ち込みを生み出す源泉になっており、よく効くワクチンさえあれば、この経済的な閉塞状況を一気に打開することができるわけです。

つまり、ワクチンは医療問題であると同時に、経済問題なのです。

そのため、ワクチン開発には大きな期待が寄せられており、ワクチン開発で先頭を走る米国では、トランプ政権が政治生命を賭けて、「爆速ワクチン計画(Operation Warp Speed)」というプロジェクトを立ち上げています。

この「ワープスピード計画」は、保健医療、医薬品の監督、バイオ科学、国防など、ありとあらゆる関係省庁の力を糾合し、有望な製薬会社に巨額の開発資金を提供して、ワクチン開発を爆速で推進するプロジェクトになっています。

当然、この計画に採用された製薬会社の株式は急騰しているケースもあります。以下にそんな各社の開発状況をまとめました。

情報源は、米国の政府機関、医学誌のウェブサイトのほか、この分野で日本語で積極的に情報発信しておられる広瀬隆雄さん(元・外資投資銀行勤務)という方の各種媒体になります。

企業名:ファイザー(PFE)、バイオンテック(BNTX)
臨床試験の進捗:第3相の結果が8月初旬に発表
特徴・技術:mRNA

企業名:モデルナ(MRNA)
臨床試験の進捗:第3相の結果が8月中旬に発表
特徴・技術:mRNA

企業名:ノヴァヴァックス(NVAX)
臨床試験の進捗:第3相の結果が9月初旬に発表
特徴・技術:抗原性補強材遺伝子組み換えナノ粒子

企業名:アストラゼネカ(AZN)、オクスフォード大学
臨床試験の進捗:第3相が8月に開始予定
特徴・技術:非複製的ウイルス・ベクター技術

企業名:ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、エマージェント(EBS)
臨床試験の進捗:近日中に開始予定
特徴・技術:非複製的ウイルス・ベクター技術
※EBSは、AZN、NVAX、VXRTのワクチン製造も受注。

企業名:メルク(MRK)
臨床試験の進捗:年内開始
特徴・技術:遺伝子組換え水疱性口内炎ウイルス技術

企業名:ヴァックスアート(VXRT)
臨床試験の進捗:開始時期未定
特徴・技術:経口ワクチン

先行き不透明感の強いものも多く、銘柄として視界が明瞭なのは、バイオンテックとモデルナでしょうか。

また、ワクチン開発ではなく、ワクチン製造という意味では、エマージェントがすでに複数社と契約締結しており、手堅い感じがします。この会社は、国防総省と密接な関係にあり、米国の国家安全保障の一角を担っているので、「国策会社」という見方もできます。

新型コロナウイルスの治療薬

次に、治療薬です。なお、ネット上ではワクチンと治療薬をゴチャゴチャにしているケースも見られますが、この二つは全く別物で、社会的なインパクト、企業への収益、投資へのリターンの反映のされ方もそれぞれ違いますので、完全に分けて考える必要があります。

ワクチンは予防薬ですから、国民の何割に打って集団免疫を作るかといったことが関係してくるので、監督当局も安全性に非常に神経質になります。

臨床試験でも、通常は大半がふるい落とされます。

また膨大な量を生産しなければならないので、開発とは別に、製造が別の独立した課題、テーマになります。

また現在のように、大国同士が対立している国際環境では、良いワクチンを開発・製造できた国は圧倒的優位に立つので、ワクチンをめぐる競争はそのまま政治化します。

他方、治療薬は既に罹患した患者だけに投与するので、今回のような致死性のある病気の場合、効果と安全性のギリギリのキワを狙うことがあります。また、コストも人命優先で度返しすることがあります。

そんな治療薬の状況は、以下のとおりです。日本企業は、グローバルベースのリストにはなかなかないので除外しています。

企業名:ギリアド・サイエンシズ(GILD)
臨床試験の進捗:終了、すでに製品化
特徴・技術:抗ウイルス薬「レムデシベル」

企業名:ヴィア・バイオテクノロジー(VIR)
臨床試験の進捗:近日中に開始予定
特徴・技術:モノクローナル抗体

なお、ヴィアの治療薬候補は、2つの候補が走っており、片方の方のパートナーは、大手のグラクソ・スミスクライン(GSK)です。

新型コロナ関連株は、いわゆる旬物ですね。すでに多くの投資家が利益を出しているようです。

しかし、旬物だけにちょっとしたイベントで大きく値動きする傾向があります。また、臨床試験の結果によっては、一瞬で暴落するリスクもありますね。

ただ、ワープスピード計画などには、米国人独特の鬼気迫る理詰めの気合いを感じて、私は非常に醍醐味のある相場だと思っています。

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