ニュース解説

トランプ氏退院、体調も選挙情勢も予断許さず

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トランプ大統領が退院しました。しかし、米国の主要メディアは、保守系のFOX Newsを除き、新型コロナの感染前よりもトランプ氏に批判的になったように感じます。

米国株に投資している人の多くは、トランプの再選を願っていると思いますが、きょうは刻々と変わるトランプ氏の周辺状況を、改めてまとめたいと思います。

いまだ残る容態急変のリスク

かつて、ハーマン・ケイン氏という黒人の共和党の政治家がいました。ケイン氏は2012年の大統領選挙にも出馬したので、米国では全国的知名度があった人でした。しかし、彼は今年7月に新型コロナで死去しています。

下記は、ケイン氏の病状の経過に関するツイートですが、こわいのは、「大丈夫、大丈夫」と言いながら、そのままあっという間に亡くなったことです。

日本の著名人でも、こういうケースは耳にしたことがあります。トランプ氏の場合、大統領ですから特別なケアが施されているわけですが、多くの著名人も似たような手厚い看護の中で命を落としました。

退院できたことは良かったですが、一瞬で状況が変わってしまうことは心積もりしておいたほうが良いと思っています。

ホワイトハウス、選挙対策本部で感染者続出

トランプ氏が感染したことで、ホワイトハウス、選挙対策本部で一斉に検査をし直したこともあり、感染者が続出しています。

ホワイトハウスでは、最初に報じられた側近のホープ・ヒックス氏のほか、新たにマキナニー報道官(上記動画)、二名の副報道官の感染が報じられています。

また、トランプ陣営の選挙対策本部では、ステピエン選対本部長、マクダニエル共和党全国委員長の感染が報道されました。

さらに、コンウェイ元広報部長、クリスティ元ニュージャージー州知事、ジュリアーニ顧問(元NY市長)など、主要な選挙サポーターも陽性と報道されています。

このような状況を見ますと、政権と選対本部の屋台骨が崩れかかっているようにも感じ取られます。今のところ、ペンス副大統領、トランプ氏の娘夫婦であるクシュナー上級顧問とイバンカ補佐官などを中心に選挙活動を切り盛りしているようです。

主要メディアの風当たりが強くなった

こうしたなか、トランプ氏は退院して早々に、ホワイトハウスのバルコニーに立ち、支持者に手を振りました。このときトランプ氏は、マスクを取ってしまったのですが、主要メディアはこの点を一斉に批判しました。

また、退院に先立ち、病院の周辺を警護車で周って、支持者に手を振るということもやったのですが、このことも批判的に報じるメディアが多かったです。

これらの行動は、支持者とは距離をとっていたり、万全の感染対策をする中で、トランプ氏が支持者を気遣って取った行動なので、それほど批判に値する行動とは思われませんでしたが、メディアからは厳しく批判されました。

これらの批判的報道は、二つのことを指し示しているように思います。一つは、主要メディアが選挙を注意深く中立的に報道することをやめ、トランプ氏を批判的に報道する姿勢に転じたということです。この姿勢の転換は、今後、浮動票層に少なからぬ影響を与えるものと思われます。

もう一つの点は、後述のように、周辺スタッフの多くが感染して自主隔離に入ったため、選挙対策のイメージ作りに関するアドバイスをする人がいなくなってしまったということです。

バルコニーでマスクを取ったことは、屋外で大衆とは数十メートルの距離を取っていたので、他の人への感染リスクは全く無かったのですが、メディア対策という意味では大失敗でした。メディア対策では、「実際にどうか」ではなく、「どう見えるか」ということだけが大事なのです。

トランプ氏としては、純粋に元気なところを見せたかったのだと思いますが、これで「こんな軽率で、愚かな人物に新型コロナ対策を任せることはできない」というイメージが付いてしまい、選挙的には大きなマイナスになりました。

世論調査:保守の牙城でも民主党が優勢に

世論調査によれば、現時点でもバイデン氏が51%、トランプ氏が41%の支持率と、10ポイントの差が開いているようです(Reuters/Ipsos)。一部では、14%ポイント差と伝える調査結果もあります(WSJ/NBC)。

またそれだけでなく、保守の共和党が伝統的に強いアリゾナ州のようなところでもバイデン氏が優勢になってきたという調査結果も出ています。

このようにトランプ氏を取り囲む状況は、ますます厳しくなっていますが、前回選挙で、どの世論調査もトランプ氏の大統領選出を予測できなかったことを考えると、まだまだ結果を決めつけることはできないように思われます。

退院できたことは良かったのですが、選挙をめぐる情勢は混沌としてきており、何があっても不思議でない状況になっています。しばらくは、緊張感を持ってマーケットとも向き合う必要があると感じています。

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