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米中対立は戦争に至るのか

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米中関係は悪化の一途をたどっていますが、今後、これが実際の戦争に至ることはあるのでしょうか。最近は、この点を考察する論考も増えてきました。そこできょうは、米国と中国が実際に戦争をする可能性があるのかどうかについて考えてみたいと思います。

相互確証破壊(MAD)という核抑止理論

米中両国は戦争をする可能性はあるのか。結論を先に行ってしまうと、その可能性はほぼゼロだと考えています。理由は単純で、両国が核保有国だからです。

あるシンクタンクの調査によると、現在、米国は6千発超の核弾頭を保有し、1600発が実戦配備されているそうです。中国は、400発前後を保有、その半数が実戦配備されているとのことです。

そして両国は、互いに相手の本土を直接攻撃できるミサイルに、これらの核弾頭を搭載して、睨み合いを続けています。戦争映画にあるように、両国はこれらの核ミサイルを、相手が発射すれば瞬時に検知して、自分も反撃して発射できる臨戦態勢を敷いています。

この状態だと、いずれかが抜け駆けして他方を殲滅するということができません。なぜならば、一方が核ミサイルを発射すれば、その直後に他方も次々と核ミサイルを発射して、米中両国の場合、2-3時間以内に両国ともに国土が完全な焦土と化してしまうからです。

そして、このように先制攻撃をしたら、かえって両国共に完全に壊滅してしまう状態のことを、「相互確証破壊(MAD, Mutual Assured Destruction)」と呼んでいます。

そして、この一風変わった均衡状態を構築することで、かえって互いに核兵器を使用できなくなることから、これは1960年代に有効性の高い「核抑止理論」として、広く認知されることになりました。

そのため、当時の大国は、急ピッチで大量の核兵器を製造・配備し、相互確証破壊の状態を確保することで、かえって偶発的な核戦争のリスクを減らし、安心と安全を獲得したのでした。

米中間でも相互確証破壊が成立

中国は、米国に比べると核弾頭数、ミサイルともに桁違いに少ないのですが、今年に入って、米国と互いに「相互確証破壊」の関係が構築されたと観測されています。

文字通り、MADな状態ですが、この米中関係が緊張してきた時期に、相互確証破壊が両国間で成立したことは、両国の安全保障を相互に強化した側面もあります。

かつて米国とソ連も激しく対立し、ときには一触即発のような事態もありましたが、この相互確証破壊のお陰で核戦争を回避できたことは否定できない事実です。

そして相互確証破壊は、第二次大戦後、核保有国間の通常兵器による普通の戦争を防止する効果も生み出しました。

なぜなら、当時の核保有国は、小規模な小競り合いが軍事衝突に発展し、軍事衝突が核戦争へ容易にエスカレートするリスクを互いに理解し、この共通認識により、小規模な小競り合いさえも避けるようになったからです。

今後は経済冷戦が深化・拡大

いま米中関係は悪化の一途をたどっていますが、私が両国はほぼ確実に戦争をしないと考える根拠は、両国の間に相互確証破壊が成立した点にあります。

米中首脳は、かつて米ソ首脳が共有していた通常戦争が核戦争に容易に移行してしまうエスカレーションのメカニズム、そして核兵器による相互確証破壊の仕組みを、当時よりも遥かに深く理解しているはずです。

そういう意味で、米中間の緊張は、今後も経済冷戦の枠内にとどまったまま、その内容が深化・拡大していくものと考えられます。

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