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FRBが2023年までゼロ金利継続を言明 現在の金融相場はあと3年は続く

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今朝未明、米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、連邦公開市場委員会(FOMC)の終了後、FRBは、今後少なくとも2023年まで、現在のゼロ金利政策を維持し、利上げをしないことを言明しました。

これは、米国株投資家にとっては、大変勇気づけられるニュースです。なぜならば、この確約によって、金融相場の上昇基調が2023年まで維持される見通しが立ったからです。

先週、米株式市場には、ハイテク株を中心に調整が入りましたが、これもあくまで小さな調整として受け取って良いようです。きょうは、このFRBのゼロ金利政策維持のニュースを取り上げます。

FRBが2023年までゼロ金利継続を言明

今回、FRBは、ゼロ金利政策を維持することを「フォワード・ガイダンス」の形で言明しました。「フォワード・ガイダンス」とは、政策の将来的な方向性を市場に対して明示するFRBの政策手法です。

この中でFRBは、現在のゼロ金利政策を解除する条件として、下記3点を挙げました。

  1. 完全雇用の水準まで労働市場が回復すること
  2. 物価上昇率が2%に達すること
  3. 物価上昇率が2%をやや上回る経路に到達すること

その上で、3番目の物価上昇率が2%を少し上回る軌道にしっかり乗るタイミングは、2023年の見通しであると述べ、実質的にこのときまで利上げをしないことを言明しました。

現在の米国株の好調な金融相場は、FRBのゼロ金利政策によって支えられていると言っても過言ではないわけですけれども、今回の声明によって、金融相場の上昇基調が2023年まで維持される見通しが立ったと言って差し支えないと思います。

現在の雇用と物価の情勢

FRBの任務は、「最大限の雇用(maximum employment)」と「物価安定(stable prices)」のニ点です。そのため、先ほどのフォワード・ガイダンスにも、この二つの要素が盛り込まれていました。

ここで念のため、現時点の雇用と物価の情勢を見ておきたいと思います。まず雇用ですが、失業率の推移を見ると、これまでの政策努力で急激に回復していることが分かりますが、コロナ前の水準には程遠いことが分かります。

失業率の推移 出所:Macrotrends

次に物価上昇率、いわばインフレ率です。これまでFRBは、インフレを警戒して、2%に達する前に予防的に利上げをしてきたのですが、先月のFOMCでこの伝統的な手法を取りやめ、2%を安定的に超え続ける目処がつくまでは利上げをしない政策に転換しました(参考:「FRBが伝統的インフレ予防策を撤廃」)。FRBは、その時期が来るのは2023年と見ているわけです。

物価上昇率の推移 出所:セントルイス連銀

今後、FRBはフォワード・ガイダンスにおける雇用と物価上昇率の目標を達成するまで、利上げをすることはなくなりました。具体的には、目標を達成するまで、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を買い続けて、市中にマネーを流し続ける量的緩和を継続するということです。

今回の声明の意味と注意点

今回のFRBの声明の意味は、FRBが現在の金融政策を2023年まで続けると言明したことで、そのときまで、現在の金融相場の上昇基調が続くと考えてよいということです。このことは、米国株の投資家にとって朗報です。

他方、注意点もあります。それは経済政策というのは、金融政策と財政政策のセットで実施されて効果を発揮するので、財政政策の方は大丈夫かという点もチェックしておく必要があるということです。

財政政策を決定するのは米連邦議会です。

今度の11月の米大統領選挙に際しては、連邦議会選挙も同日に実施され、上院の3分の1、下院の全議席が改選されるので、選挙結果によっては議会の勢力地図が一変します。

そのため、ここでの選挙結果によって、今後の財政政策の行方が変わってきます。共和党と民主党のどちらが過半数を獲るかという点も大事ですが、いわゆる「ねじれ議会」になるかどうかも注目点です。「ねじれ議会」になると、予算案の審議が紛糾し、予算がまとまらないということが、たびたび起きるからです。

ちなみに、現在は上院が共和党、下院が民主党が過半数を占める「ねじれ議会」の状態にあり、新型コロナ対策の予算案もなかなか採択されず、行き詰まりに陥っています。共和党とのトランプ政権と下院の対立も深刻で、政府が一丸となって効果的な財政政策を打ち出せる状況にありません。

そのため、今度の大統領選とともに、連邦議会選挙の結果も、FRBが提示した雇用と物価に関する動向を左右します。そういう意味では、米国投資家としては、今回のFRBの声明で明るい見通しを立てることができるようになりましたが、この選挙結果を注視する必要もあるということになると思います。

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