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レイバー・デー以降は要注意

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来週の月曜日、9月7日は米国の祝日、レイバー・デー(勤労感謝の日)です。米国では、この日を最後に夏休みが終わり、翌日から新しいシーズンが始まります。

米国は日本と違い、秋に新年度が始まるので、この日を境に、世の中の雰囲気が心機一転となり、相場のムードが切り替わるということも、これまでときどき起きてきました。

そのようなわけで、きょうは、来週以降、マーケットがどうなるか考えてみたいと思います。

レイバー・デー以降、相場急落

今の相場は、いわゆる金融相場です。

実体経済は悪いのですが、実体経済を回復するために、米議会と財務省も積極的な財政政策をとり、FRBもなりふり構わない金融政策をとったため、金融市場にマネーが流れ込み、実体経済とは乖離した形で、相場が押し上げられました。

そのようなわけで、現在の相場は実体経済を反映したものではなく、官製相場のようなものなので、これにいったん調整が入るというのは、有り得る話です。

米議会は、新型コロナ対策として、失業保険の上乗せ延長などを与野党で協議してきましたが、妥結に至りませんでした。そのため、米国民への支援策の方向性に不透明感が出てきており、これが嫌気される可能性があります。

また大統領選についても、共和党も民主党も、希望のある未来を描ききれていません。

トランプ氏については、国内をまとめる力がなく、分断が一層深刻になっているので、共和党支持者からも懸念を持たれています、

バイデン氏も、高齢というのがネックになっており、先日も大事なところで言い間違いをするなど、危うさが拭えません。この人で大丈夫なのかと心配になるのです。

このように、現在の米国の政治経済状況には、マーケットを押し上げ続ける推進力に欠けたところがあり、マーケットにいったん調整が入る可能性があります。

レイバー・デー以降も順調に推移

他方、このまま順調に推移することも考えられます。

新型コロナ問題は未曾有の出来事でしたが、政府が打ち出した対策も未曾有の水準でした。そのため、失業率などにおいて、実体経済も少しずつですが回復傾向にあります。

また米国民への支援策は、与野党の合意はできていませんが、秋口に入り感染者数が増えてくれば、議会の雰囲気もガラッと変わり、一気に合意に至る可能性もあります。

さらに、今回の新型コロナによる市場への影響を見ると、GAFAMのようなテクノロジー関連企業は、ほとんど影響を受けていないどころか、逆にテレワーク等の新たな需要に対応したことで、新型コロナがあっても、なくても収益が増加することが分かりました。

そして、マーケットは2-3月にいったん急落しましたが、4月以降の回復はGAFAMが牽引したものだったことも分かりました。そのため、現在、上昇気流に乗っている相場がこうしたテクノロジー企業に支えられて、このまま順調に推移する可能性は十分にあります。

SP500とGAFAMの変化率の比較(グレーアウト部分がSP500)

また、レイバー・デー以降にトレンドが変調をきたすリスクは、トランプ政権、議会、FRBの全関係者が事前に承知しているので、今週、支援策の妥結など、何らかの政治的な新たな進展が生じる可能性があります。そうなれば、なおさら腰折れ懸念は減退します。

備えあれば憂いなし

いずれの場合も、相場というのは予測することは不可能です。相場を形成する変数が無数にあり、その大半が投資家には制御不可能だからです。

ですので、投資家にできることは、心の準備をしておくことだけです。

なかには、今週中に危ないところは利確するという人もいるでしょう。逆に、この機会に仕込む人もいると思います。

いずれにしろ、狭いスパンでは今週と来週、広いスパンでは9月いっぱい、米国株の投資家は若干の緊張を強いられることになるかもしれません。

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