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CASEとMaaSで、自動車銘柄への投資方法に変化の兆し

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ここ数年、多くの人が気付いてきているように、自動車産業に革命的な変化が起きています。

CASE(ケース)は、この変化を象徴する言葉です。CASEとは、Connected(インターネットに接続)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリングとサービス)、Electric(電動化)の頭文字で、これらの要素が同時並行的に、相互に関わり合いながら、自動車に導入されていることを表しています。

また、MaaS(マース)という言葉もよく聞くようになりました。MaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、公共交通機関、クルマ、自転車までも、一つの移動サービスと捉え、出発地から到着地までの移動を、クラウド・コンピュータを介してシームレスな形で(つなぎ目のない形で)最適化する概念です。

このようなCASEとMaaSによる変化を受けて、自動車会社は、これまでの製造業というよりも、サービス業の性格を帯びるようになってきており、自動車会社への投資を考える上でも、今後はこの変化を踏まえた上で、銘柄を評価、選択する必要があります。

きょうは、そのようなわけで、投資先としての現在と将来の自動車会社、自動車産業について考えてみたいと思います。

CASEとMaaSで、自動車会社は製造業からサービス業へ変質

今後の自動車産業の動向に関する資料を読んでいると、自動車というのは、これからスマホのようになっていくのだなということを感じます。

これがどういうことかと言うと、たとえば、iPhoneは、Apple社から発売され、通信サービスは、ソフトバンクなどから提供されていますが、この二社はいずれもiPhoneの製造元ではありません。

あまり事情を知らない人は、iPhoneはAppleが作っているものだと思っていることもあるようですが、iPhoneは、台湾の鴻海精密工業(Foxconn、ホンハイ)と和碩聯合科技(Pegatron), 啓碁科技(Wistron)という三社で製造しています。Appleは、iPhoneの企画と設計だけ行い、製造は管理統括する立場にあります。

そしておもしろいのは、iPhoneはAppleが作っていないのに、Appleのイメージが強く、また日本でリリースされた当初は、ソフトバンクが通信サービスを独占していたために、かつてはソフトバンクのイメージも強かった点です。決して、「iPhoneと言えば、ホンハイ」というように、製造元をイメージするような人はいませんでした。

製品(モノ)なのに、製造元ではなく、サービス提供会社が、製品のシンボルとなっているのは、よく考えると不思議であり、CASEとMaaSによる変化を考えると、自動車業界にも、今後、同じことが起きるように思いました。

つまり、たとえばトヨタの車は、もちろんトヨタが作っているので、今は「トヨタの車」として認識されていますが、トヨタは、MaaSの部分ではソフトバンクと提携しているので、今後はトヨタの車を見ると、「ソフトバンクの車」として認識される日が来るかもしれないということです。

具体的に言うと、もし自分が大阪に出張して、新幹線で新大阪駅に降り立ち、駅前のターミナルで、トヨタ・プリウスが、ソフトバンクのMaaSサービスで、自動運転で車寄せに滑り込んできたら、それはもはやトヨタの車ではなく、ソフトバンクの車として認識されるのではないかということです。

つまり、自動車も、CASEとMaaSによる変化を受けて、スマホのように、メーカーではなく、サービス提供会社がそのシンボルとなる日が来るのではないかということです。

自動車会社への投資の仕方が変わる

このように、今までは自動車会社と言うと、当然のように製造元を指すことが多かったわけですが、今後は、自動運転技術の会社、シェアリングのサービス会社などを指すように、細かくセグメントしていく可能性があります。

自動運転技術を見ると、主要企業だけでも、Waymo(グーグル系)、インテル、百度・バイドゥなどの企業が参画しています。。MaaSの企業を見ると、Uber、Lyft、Grabを筆頭に、数十社が関わっていることが分かります。

このように、一つの車に対して、今後は複数のCASE、MaaSの企業が関わっていくので、自動車産業というものが、別業界に多岐にわたって広くオ-バーラップしていくことが分かります。別の言い方をすると、自動車産業というものが、今後は細かくセグメント化していくという言い方もできます。

当然、この問題は、株式市場にも変化をもたらします。たとえば、今までは、フォードの販売台数が変化すれば、主にフォードの株価だけが変化してきたわけですが、今後はフォードに関係するCASE、MaaSの複数の企業の株価も、連動して変化することになります。

そして、CASE、MaaSには、多くのIT企業、情報通信企業が直接、間接に関わっており、これらのハイテク産業は株式市場全体での時価総額ベースでのシェアも大きいので、今後は「自動車会社」の業績の変化が、今まで以上に市場全体に大きな波及効果をもたらすことも予想されます。また、今までシクリカルな要素がなかったハイテク産業にも、その影響が及ぶなど、市場に質的変化が起きる可能性もあります。

自動車業界全体で水平分業が加速

当初、CASEについては、従来の自動車メーカーが自前で開発する可能性もあったのですが、近年では、とくに自動運転の難易度の高さから、高い技術力を持つIT企業、情報通信企業と提携する事例が増えてきました。これは、自動車業界での水平分業を促し、前述のように、自動車会社、自動車産業の姿を変質させています。

しかし、こうした水平分業の流れに逆行し、製造から販売までを一貫して垂直統合し続けている自動車会社が一社だけあります。それはテスラです。

テスラは、すでに大きな成功を収めていますので、この方法が大きなチャレンジを受けることは考えにくいですが、今後、既存の「自動車会社」がCASE革命を乗り越えた後、テスラとどう競争していくのは、大きな注目ポイントです。

ただ、MaaSの部分については、おそらくテスラも垂直統合して組み込むことはできないはずですから、いずれにしてもCASEとMaaSの変革の波は、例外なく全ての自動車会社の姿を変えていきます。そして、これは株式市場にも大きな変化をもたらします。この歴史的変化を、今後も注視していきたいと思います。

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