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米国株の新たな懸念材料 ― 人種暴動の変質

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今年5月にミネアポリスで、黒人男性が白人警官に頸部を圧迫されて死亡した事件をきっかけに、全米各地に人種差別反対運動が広がり、一部が暴動に発展しています。

また数日前にはウィスコンシン州で、黒人男性が警官に背後から撃たれるという事件が起きました。火に油を注ぐ事態となっており、今後の行方が強く懸念されます。

米国は移民で構成される人工国家で、このような人種を理由にした暴動が拡散、深刻化していくことは、国家の根幹を揺るがす重大な問題であり、中長期では米経済にも悪影響を与えます。きょうは、米国で広がる人種暴動について考えます。

問題の本質 ― 暴力を肯定するかどうか

今回の問題の対立軸は、白人と黒人、保守とリベラル、共和党と民主党というところにあります。こういう対立軸で問題が起きることは、目新しいことではありません。

また、ミネアポリスでの事件に対して、ブラック・ライブズ・マターのような社会運動が再燃したのは当然です。

しかし、今回の一連の状況が、過去のケースと違うのは、対立する双方のグループに、重なるように、反知性主義に基づく暴力的な集団が活動に参加している点です。

具体的には、ブラック・ライブズ・マターのような健全な活動に重なるように、アンティファ(反ファシズム活動)、出自不明の武装集団が乗り込んで、合流してきているのです。

彼らは、リベラルを標榜しており、民主党支持者のようですが、暴力を容認している点で、通常の社会集団と違います。

そして、今回の問題で最も深刻な点は、現在暴動が激化している都市は、民主党が首長を務めているところが多く、彼らがときにはこうした暴力集団を意図的に野放しにして、焚き付けている点です。

法治国家の統治者が、法による支配を否定し、暴力を肯定しているということで、米国の統治が破綻しかかっていることを感じます。

しかし、米国がこうなるきっかけを作ったのはトランプ大統領です。彼の反知性主義が、リベラルを絶望のどん底に突き落とし、トランプと同じレベルまで堕ちる要因を作りました。

この「米国の分断」は、11月の大統領選の結果によっては、さらに深化、拡大していく可能性があり、間接的に国際問題にも悪影響を与える恐れがあります。

命運を握る大統領選

大統領選では、いまのところ民主党のバイデン氏が9ポイント差でトランプ氏よりリードしていると言われていますが、予断を許しません。

なぜなら、トランプが大統領としてあまりにひどいので、穏健な共和党支持者や保守派の有権者は、世論調査ではトランプを支持していると公言しない場合もあるからです。

さらに、現在リベラルの一部が過激化しており、また外交面で中国やイランの脅威が増大する中で、民主党が中国とイランに甘いことから、中道派の浮動票もトランプに流れる可能性が指摘されています。

今度の選挙は、穏健な保守派、中道派の有権者か見ると、どちらの候補者が「より悪いか」という苦渋の選択なのです。

以下に、選挙結果に従った選挙後の展開を考えみます。

結果的に、もしトランプが勝利したら、いまのリベラルの活動は、さらに過激化し、暴力的になっていくでしょう。国内は、本当の分断の危機に瀕すると思います。ただ外交的には、中国とイランを徹底的に孤立させる政策を一層推進するので、秩序が維持され、荒っぽい動きは出てこないように思います。

バイデンが勝った場合は、二種類のシナリオがあります。一つはバイデンが圧勝した場合で、現在の国内分断の動きはひとまず沈静化するでしょう。しかし、中国の台頭が加速し、イランの核武装が進む可能性があるので、世界レベルでは経済的にも軍事的にも地政学リスクが一気に高まる可能性があります。

そして、バイデンが辛勝した場合、これが最悪のシナリオになりますが、トランプが不正選挙の言いがかりをつけて、選挙結果を認めない可能性が出てきます。こうなると国家の分断が一気に進み、米国が内乱状態に陥る恐れさえあります。また同時に、世界の反米勢力が、この機会につけ込み、国際秩序を乱す可能性があります。

こうしてみると、現在の米国の不幸は、世界情勢としては、強くて賢い共和党の大統領が必要なときに、前回の選挙で、非常に愚かな共和党の大統領を選んでしまった点にあることがわかります。唯一の希望は、バイデンが勝って、中国とイランに強硬策を取ることですが、そういうマジックが実現するかは不透明です。

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