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米中冷戦を読み解く3つのカギ 米国株投資家に必要な視点

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米中の対立がエスカレートしています。

米中関係は、かつての経済的な競合関係から冷戦と言える状態に変化しました。

そのため、大変残念なことですが、両国がともに共存共栄していくシナリオよりも、勝負がつくまで延々と足の引っ張り合いを続けるシナリオの方が現実味を帯びてきました、

この勝負の行方を解くガギは、両国のイデオロギーの違い、勢力(パワー)の違い、リーダーシップの問題という3つの点にあります。米国株投資家としては、どういう心の準備をしておけばよいのか、それぞれ見ていきたいと思います。

米中のイデオロギーの違い

米国は、民主主義と市場経済の国です。言い換えれば、政治的にも経済的にも徹底的に自由を追求する国です。政府が市場に介入して、人為的に公平を図るようなことはあまり好みません。

中国は、独裁主義と市場経済の国です。政治は一党独裁で、国民にも基本的人権や自由権を保証しません。経済は、市場原理を利用しながらも、政府が市場に介入し、経済活動を特定の方向へ誘導します。

民主主義や独裁主義といった政治体制、イデオロギーについては、本質を理解するのが、難しいこともあると思います。

専門の文献も無数にありますが、これらを読めば理解できるようになるというものでもありません。

むしろ、こうしたイデオロギーを理解する近道は、実際にその国に住んでみることだったりします。

私は、中国には住んだことはないのですが、これまで米国と、ある独裁主義の国に実際に住んで生活する機会がありました。そこで、私なりの個人的所感を少し述べたいと思います。

米国は、確かに自由の国で、政治的にも経済的にも極限の自由を保証する国です。

このことは、外国人として住んだ私にも、その素晴らしさを実感することができました。

アメリカン・ドリームという言葉がありますが、誰にでも大変なチャンスが与えられるというのは本当です。

世界中の多くの人々が、あえて移住したり、市民権を獲得するために涙ぐましい努力をする気持ちがよくわかりました。

他方、私はカンボジアという独裁制で、中国や旧ソ連の影響を強く受けた国にも住んだことがあります。

カンボジアの人々は心優しく、温和な人々です。

しかし、カンボジアの政府はどうかと言うと、申し訳ないですが、高圧的で、特権的で、腐敗しているケースがあるというのが正直な印象でした。

そして、政府が高圧的なので、一般市民は政府の顔色をうかがって、ビクビクしながら生活をしています。

家族の会話でも、政府に批判的なことを言うのは話題として避ける傾向があり、それを当たり前のことして受け止め、どこか諦めているような様子が伺えました。

私がカンボジアに住んで感じたことは、とにかく一般市民の人たちに元気がないということです。独裁主義というのは、国民のヤル気を削ぎ落とす効果があることを実感しました。

先進国と途上国の比較ですが、これが実際に住んで感じた民主主義と独裁主義の違いです。

私は中国という国は、非常に大きな潜在能力のある国だと思っていますが、いまの政治体制を転換しない限り、近い将来に頭打ちになると思っています。

勢力(パワー)の違い

米中冷戦の対立構造は、米中の一対一の戦いではなく、経済競争が背景にあるため、経済原理に従って、おのずと米国グループと中国グループという同盟間の戦いに発展します。

米国の陣営には、G7ほか、EU加盟国、アジア太平洋、中南米の主要国、中東の多くの国々が吸い込まれていくでしょう。

中国の陣営には、反米的なトルコやイラン、そして多額の融資をしているアフリカ諸国が加わるでしょう。ロシアも参加するかもしれません。

中国は、おそらく10年以内にGDPで米国を抜き、世界一の経済大国になりますが、大事なのは、米中冷戦は個別の国同士の冷戦ではなく、グループ間の総力戦的な冷戦になる点です。

もうあまり多くの説明を要さないと思いますが、当事国の単独の力量はあまり重要でなく、グループ全体の力量の総和が、勝負のカギを握っているということです。

米国の強みは、同盟国を魅了し、その力を結集できる点にあります。他方、中国の弱みは、それができない点にあります。このことで、今後の帰趨がほぼ決まってしまうところがあります。

リーダーシップの問題

このように、米中冷戦は勝負の行方が見えているのですが、盲点もあります。それは米国の内政問題です。

今年、米国は大統領選挙を控えていますが、波乱含みになることが予想されています。

いま米国で取り沙汰されている問題は、トランプが僅差で負けた場合、彼が負けを認めず、選挙結果を正式に確定できないまま、国内が混乱状態に陥ってしまうのではないかという懸念です。

今から20年前の大統領選挙でも、開票結果が僅差だったので、選挙後ただちに選挙結果を確定できず、大票田のフロリダ州で得票の集計をやり直すような事態になったことがありました。

勝負は最高裁の場にまで持ち込まれ、事態は本当にギリギリの玉虫色だったのですが、民主党のアル・ゴア氏が紳士的で大人の態度をとったことで救われ、共和党のブッシュ氏の勝利を確定することができ、混乱を1ヶ月程度で収拾することができました。

しかし今回は、事情がちょっと違います。一つには、劣勢が伝えられるトランプ氏が、反対派を武力で鎮圧するような素振りを見せているからです。

トランプ氏は最近、連邦政府の治安維持部隊を、野党・民主党の勢力が強い都市にピンポイントで派遣しました。こんなことは前代未聞のことで、野党は強い懸念を表明しています。

もう一つの不穏な要素は、外国勢力が米国を混乱させることを本気で狙っていることです。

前回の大統領選挙では、ロシアがサイバー攻撃などを通じて、選挙プロセスに不当に介入したことが報道されました。

今回は、これは共和党政権下の情報機関が指摘していることですが、ロシアのほか、中国やイランが似たようなことを画策していると言われています。

20年前は、こうしたおかしな要素がなくても、選挙結果が僅差だっただけで大変な騒動になりました。今回は、外国の介入が避けられないほか、現職大統領が野党勢力を武力で鎮圧することを示唆するなど、今までにない緊張感が国内に走っています。

もし、トランプが国内での武力行使に踏み切るようなことがあれば、米国は大変な混乱状態に陥るでしょう。そうなれば、米中冷戦の行方も一気に不透明な様相を呈してきます。

米中冷戦、今後の行方

米中冷戦には、大きく分けて3つのシナリオが想定されます。

A 短期戦で終わり、米国があっさり勝利

B 長期戦になるが、米国が勝利

C 米国が混乱状態に陥って、世界経済も多極分化、混沌状態へ

米国株の長期投資をしている場合、Aが最もリスクが低く、Cに行くほどリスクが高まります。

そのため、最も好ましいのはAのシナリオですが、Cの可能性も排除すべきではないと思います。つまり、Cを想定したポートフォリオを組んでおく必要があるということになります。

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