EPSとは何か?
EPSとは、1株当りの純利益を表す指標で、Earnings Per Shareの略です。下記の計算式で算出されます。
EPS(1株当たり利益)= 純利益 ÷ 発行済株式数
分子の純利益は、直近の確定値を使うこともありますが、予想値を使う場合も多く、後述の通り、使用の目的に応じて、使う数値が変わります。
EPSは、何の役に立つのか?
EPSは、純利益を発行済みの株式総数で割るので、会社の規模に関わりなく、その会社の収益力、稼ぐ力を表す点で重宝されています。
そういうこともあり、EPSが最も注目されるのは決算発表のときです。決算発表では、発表されたEPSが、事前予想値のEPS、つまりアナリストたちによるコンセンサスのEPS予想値を超えられたかどうかという点に注目が集まります。
たとえば、下記はフェイスブック(FB)のEPSの過去の履歴ですが、今年3月に一回しくじって、6月に復活したことが分かります。「EPS Est.」が事前予測値、「EPS Actual」というのが実際に発表された数値です。
発表されたEPSが、事前予想値のEPSを超えられたら、その会社の株には一斉に買いが入ります。超えられなかったら一斉に売りが入ります。決算発表では、売上高も注目されますが、EPSも等価に重視されており、売買の重要な指標となります。
EPSの留意点
EPSの留意点は、増資などで発行株式数が増えると、名目値が下がるという点です。冒頭の計算式を再掲します。
EPS(1株当たり利益)= 純利益 ÷ 発行済株式数
分母の株式数が増えると、それが大概良いことであるにも関わらず、EPSが下がるということです。この場合は調整を入れて、修正することになります。
また細かいことですが、先ほどのフェイスブックの事例では、フェイスブックの収益力が高いのでEPSもドルで表示されていましたが、多くの場合、EPSはセントで表示されることも少なくありません。
EPSは株価の予測にも使われる
EPSは、株価の方向性を探るために、PER(株価収益率)と組み合わせて使われる場面もあります。
たとえば、同業他社の間で、A社のEPSが0.5ドル、PERが10倍、B社のEPSが同じく0.5ドルだが、PERが20倍という場合、収益力が同じなのに、A社が相対的に低く評価されていることが示されているので、今後株価が上がるかもしれないというヒントをくれるのです。
決算のとき以外はあまり注目されませんが、EPSは、このように日常的な企業分析でも頻繁に使われています。