投資の学び

PER(株価収益率) 用語解説

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PERとは何か?

株式投資におけるPERとは、「株価が純利益の何倍か」を表す株価指標です。日本語では株価収益率と訳され、Price Earning Ratioの略、ピー・イー・アールと読みます。

PERは、株価が純利益の何倍かを表す指標ですから、下記の数式で得られます。

PER(株価収益率)= 株価 ÷ 一株当たり純利益

そして、株価というものが、その性質上、会社の現在のパフォーマンスを表す数字ではなく、将来への予想と期待を織り込んでいる数字であることから、分母の一株あたり純利益も、通常は予想値を使います。

PERは、何に役に立つか?

PERは、その会社の株価が割高なのか、割安なのかを知る上での目安になります。割高だから、しばらく様子を見よう、割安だから、購入を検討しようという取引の判断材料になるのです。

PERの平均値はどのくらいかということも、疑問点としてよく挙がりますが、一概に言えません。業種によって違いますし、そのときの経済状態によっても変わってくるからです。

しかし、あえてPERの平均値をいいますと、だいたい15倍くらいと言われることがあります。ただ重ねていいますが、これはあくまで参考値です。IT企業では、百倍を超えるケースもあり、一概に言えないのです。

PERは、同じ業界内の複数の会社の数値を比べる際には、一定の判断材料を与えてくれますが、それ以外ではあまり参考にならないこともあります。ですから、あまり単純に考えないことが大切です。

PERの留意点

説明がやや複雑になりましたが、このようにPERの説明が複雑になるのには理由があります。それは、PERが割高だからダメ、割安だから良いというふうには必ずしもならないこともあるからです。

低PER株は割安というより、ダメ株であることもある

効率的市場仮説という考え方を知っているでしょうか。すべての外部情報は、リアルタイムで市場価格に織り込まれているとする考え方です。株式投資においては、多くのプロの投資家が、この考え方を前提にして取引をしています。

そうなると、株価には正確な価値が常時反映されていることになるため、割安、割高というものはないはずです。そして、この考え方に従えば、低PER株は、低評価の株、つまりダメ株だという意味になります。そして、現実にもこうした事例は少なくありません。

しかし、高値推移してきた優良株が、ちょっとした理由で一時的に株価が下がり、結果的にPERが下がることがあります。これは優良株が低PERになっている事例です。

また稀なケースですが、高い潜在成長力を持った会社の株、もしくは堅実に成長する基盤を持った会社の株が、誰にも気づかれずに安値のまま放置されているケースもあります。これも優良株が低PERになっている稀なケースです。

しかし、実際にはこういうことは珍しいです、なぜなら、優良株は誰かしらが、いち早く見つけて、すでに高値、高PERになっていることが普通だからです。実際には、その会社の本当の価値と比べて、どちらかというとやや割安といった微妙な判断しかできないケースの方が多いのです。

このように一般論としては、株式市場は効率的市場仮説が支配している場所であり、低PERの優良株というお宝はなかなかありません。ただ、その滅多にないものを探し出す上で、PERは他の指標と抱合せで使えば、大変有益なツールとして威力を発揮します。このへんの他の指標については、このサイトで今後、どんどん紹介していきます。

高PER株は割高というより、有望株であることもある

さて、低PER株は低評価株であることが多いということの裏返しとして、高PER株は、評価が高いからPERが高くなっているケースがほとんどです。

そのため、PERが高いから敬遠するのではなく、さらに上がることを他の指標からも判断して、結果的にあえて高PER株を買い進めるという投資手法もあるほどです。つまり、高PERは割高だからダメということには、必ずしもならないのです。

しかし、あまりに相場が加熱して、いくらなんでも高すぎるという冷静な判断材料を与えてくれることも確かにあります。保有している株のPERが高くなりすぎたので、いったん利確したら、その直後に暴落したということは、よく聞く話です。このように警報装置として機能する側面もあります。

不況などで利益が出ないときはPERは跳ね上がる

また、マクロ経済の要因として、不況のときは利益が下がる傾向にありますから、PERが高くなることがあることも要注意です。

冒頭で、PERの計算式は下記であると示しました、純利益は分母にありますから、ここが大きく下がると、当然、PERは上がります。

PER(株価収益率)= 株価 ÷ 一株当たり純利益

つまり、利益が下がることに釣られて、株価が下がるような業績相場の下降局面においては、PERが上がる現象がしばしば起こります。

これは、金融相場の上昇局面で、株が買われているからPERが上がっているのとは意味が全く異なるので注意が必要です(参考:「実体経済と金融経済が乖離しているワケ」)。

株式投資におけるPERの意義

PERは、その株が割高なのか、割安なのかを示してくれる指標です。しかし、その利用に際しては、上記のような留意点があるので、単純に物事を決め付けることができないことがお分かりいただけたと思います。

そして、株式投資における指標はこれだけではありません。財務諸表に関する内部的な指標がほかにもあるだけでなく、マクロ経済の指標、また市場の期待など、外部要因の指標も考慮に入れる必要があります。

株式投資は、アートとサイエンスの両面があると言われます。

様々な統計はサイエンスです。数字は、嘘をつかないからです。しかし、これらをどう組み合わせて投資判断を下すかという点に無数のバリエーションがあるので、そこにアートの要素があります。

株式投資で上達を図るためには、まずサイエンスの部分をしっかり押さえ、次にアートの部分を勉強する必要があります。学ぶべきことが無限にあるところも、株式投資の魅力です。

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