株式投資をしていると、勉強しなければならないことがたくさんあることに気づきます。
そんな勉強をイヤだと感じるか、それとも楽しみとして受け取るかは人ぞれぞれだと思いますが、勉強が必要だということは多くの人が感じているのではないでしょうか。また、勉強が必要だと分かっていても、どう勉強していいかわからないという人もいるかもしれません。
そういうわけで、きょうは一例として、私自身が株式投資について、どのような勉強をしているかご紹介して、最後に、そうした勉強が実際に役に立つのかということを考えてみたいと思います。
株式投資に関する勉強
それでは最初に、株式投資について、私が何を勉強しているかをご紹介します。
私の場合、株式投資の勉強は、全体を3つの大きなグループに分けて進めています。具体的には、経済学、会計、投資手法の3つです。実際に読んで、役に立ったと思った本も挙げていきます。
経済学
マクロとミクロをまんべんなく勉強するようにしています。株価というものは、金利と企業業績で決まると言われますが、マクロ経済学は金利の勉強になり、ミクロ経済学は企業の業績分析の勉強になります。
テキストとしては、マンキューを繰り返し読んでいるほか、意外と有益なのが、公務員試験対策の経済学の本です。著者が趣味に走らず、本当に大事なことだけにポイントをストイックに絞り込み、読者に確実に理解させることを重視して書いている点に好感が持てます。流行りの本はあまり読まず、普遍的な理論を繰り返しさらうようにしています。
マンキュー経済学I ミクロ編(第4版) (日本語) 単行本 – 2019/9/27
マンキュー経済学II マクロ編(第4版) (日本語) 単行本 – 2019/9/27
試験攻略入門塾 速習!経済学 基礎力トレーニング(マクロ&ミクロ) (日本語) 単行本 – 2015/7/1
会計
会計というと大げさですが、財務諸表の読み方の勉強です。株式投資の投資対象は企業で、企業のパフォーマンスは財務諸表に集約されています。その意味で、これを自由に読み解けないと、話にならないと思っています。
しかし、それがなかなか難しいのが実情です。ですから私は自分でできることとして、簡単な入門書を徹底的に読み込むことをやっています。そこで最近は、財務諸表の数字は、健康診断で出てくる臨床検査値の数字と似ていると思うようになりました
人間の身体も企業も、いわば有機体であり、一つひとつの数字は独立して存在しているのではなく、互いに関係しあっています。
医者は臨床検査値を単なる数字ではなく、その数字の背後にあるものまで理解しながら診断を下します。投資家も、財務諸表を見たとき、同じような深読みができなければ、個別株に投資するようなことは危ないと感じています。
オールカラー \"ギモン\"から逆引き! 決算書の読み方 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2016/3/2
投資手法
先日も書きましたが(参考:「ファイナンス理論の勉強」)、株式投資理論、ファイナンス理論の勉強をしたいと思っています。学説史から始め、効率的市場仮説の深堀りなどをしてみたいと思っています。
ファイナンス理論全史――儲けの法則と相場の本質 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2017/12/14
また株式投資における分析手法には、大別して、ファンダメンタルズとテクニカルという2つのアプローチがありますが、私は大半の時間をファンダメンタルズの勉強に当てています。
理由は、むかしFXの勉強をしていて、テクニカル、すなわちチャートの勉強は散々やったので、もういいという気持ちがあることと、勉強した結果、基本だけ知っていれば十分という思いがあるからです。
私の中では、ファンダメンタルズの方が奥が深く、いくら勉強しても足りないという感覚があるので、先述の財務諸表の読解をはじめ、ファンダメンタルズ分析の勉強に時間をかけるようにしています。
株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2019/1/24
投資セクター別の勉強
株式投資そのものの勉強とは別に、業界セクター、企業についての勉強も必要です。私が最も重視しているのが情報通信分野(IT)で、次いで再生可能エネルギー分野を考えています。バイオテクノロジーは、あまり考えていません。理由は後述します。
情報通信技術(IT, ICT)
GAFAMの時代は終わったという人がいます。確かに私もそう思います。とくにグーグルやフェイスブックのように、広告に収益を依存してきた企業は、今後は厳しいと思います。
しかし、5Gに関係するIoT、自動運転の分野は、今後、無限の可能性があると思っています。私は、運輸やロジスティクスに関する分野は、今後、急速に自動化、無人化が進むと思っています。そういう意味で、無限に近いフロンティアがあります。
5Gの世界は、米中冷戦とも密接な関係があり、今後大きな試練もあると思います。しかし、そうした壁も突き破り、すでに拡大している市場が、さらに拡大していくように考えています。
再生可能エネルギー
先日の投稿記事(参考:「米大統領選と米国株投資の展望」)でも書いたばかりですが、もし大統領選でバイデン氏が勝利し、民主党政権が誕生すれば、再生可能エネルギーは、最低でも今後4年、大きな投資のテーマになると思います。
この分野はIoT、自動運転とも接点があり、情報通信分野と併せてシナジー効果を生ずる可能性もあります。そういう意味では、突き詰めて考えると、一緒にまとめて一つの分野として考えたほうがよいのかもしれません。
なお、世の中を席巻していて、上記に挙げなかったセクターとして、バイオテクノロジーがあります。新型コロナウイルスのワクチン開発でも熱気を帯びている分野で、市場が急速に拡大していますが、私は長期的には大きく伸びる分野ではないと思っています。
それは、遺伝子組み換え技術などの中核技術が、倫理的、法的な壁を抱えているからです。特に、この壁は米国と西欧では極めて厚く、テコでも動きません。技術的に可能でも、やってはダメだと法的規制がかかる場合があります。
上記に挙げた情報通信、再生可能エネルギーには、この種の壁がありません。このことは日本にいるとあまり実感できませんが、米国と西欧では言わずもがなのことです。
株式投資に勉強は必要か
ここまで、私自身の株式投資の勉強の話をしてきましたが、そもそも投資の勉強は本当に必要か、本当に収益に結びつくのかということは多くの人が疑問に思っていることだと思います。
最初に私見を述べますと、私は投資の勉強は、株式投資の収益化に不可欠だと思っています。なぜならば、勉強をしないプロを見たことがないからです。また、勉強しないで市場で長く生き残っている一般投資家も見たことがありません。
たしかに、数ヶ月、一年くらいは、勉強しないで、親切なプロの教えを表面的にさらうだけで利益を出していくことはできると思います。現実にそういう人は結構います。
しかし、私は自分が同じことをやったら、一時的な成功で調子に乗ってしまい、あっという間に一財産なくしてしまうと思うので、こういうショートカットはあえて避けるようにしています。
また、成功者の中には、勉強をバカにする人がいます。勉強してないで実践しろというわけです。確かに実践は、座学の何倍ものことを教えてくれるので、言っていることは分かります。
しかしよく観察すると、このように勉強をバカにする成功者ほど、ものすごい勉強家なのです。つまり、こういう人も勉強したあとで実践しているわけで、何もしないでいきなり実践して、成功を収めているわけではありません。
そういうわけで、勉強すれば株式投資で成功できるかは何とも言えませんが、勉強しないで長期的に成功している投資家はいないことだけは断言して差し支えないと思います。
つまり、株式投資にとって勉強は必要条件だけれども、十分条件ではないというのがフェアな言い方かもしれません。ですから、結論としては、株式投資をするなら、勉強はどうしても必要だということになります。
そのようなわけで、今後もこのサイトでは、読者の皆様に役に立つ株式投資の勉強の話題をときどき取り上げていきたいと思います。